能登半島地震

2024.2.26 輪島市での炊き出し支援

輪島での活動は、東陽中学校の避難所で炊き出しのボランティアです。
ここは、震災後に初めて自衛隊が入った避難所だそうです。多い時には430人が避難しており、身体を横にするスペースがなく、固い床に座ったまま寝ていたそうです。
体育館の中は、一部はテントが並び、一部はダンボールで仕切られただけの空間です。二次避難が進んだ今でも、約150人がここでもう2ヶ月近く生活しています。

炊き出しのリーダーは、地元輪島でレストランを経営していた冨成寿明シェフ。ミシュランガイド北陸2021 で1つ星&グリーンスターを獲得した輪島の誇る名シェフです。ご自身も被災者でありながら、震災直後より現在に至るまで日々避難者のために温かい食事を作っています。
全国各地から避難所に届けられる支援物資の野菜やお肉などを見ながら、栄養や前日の食事との組み合わせも考慮してメニューを組み立てます。不十分な設備と限られた食材でも、シェフの技と工夫で感動するほど美味しいお食事になるのは流石です。ナスと豚肉のみぞれ煮、とろみを付けた親子丼など、どれもお金を払って食べるレベルのおいしさです。
今は洗い物などをするための水は出る様になっていますが、しばらくは断水の中でも400人前後の炊き出しをされていたとのことなので、その時の苦労はいかばかりかと推察します。

また、最近はようやく他のシェフが来てくれる時に週1でお休みを取れる様になったり、支援団体から生活費を支給してもらえる様になったとのことですが、最初のひと月は無給無休の完全ボランティアだったとのこと。
今に至るまで車で寝泊まりされながらこれだけの大きな役割を請け負っている冨成シェフには本当に頭が下がります。

炊き出しに対して、行政からは物資の支給はあるそうですが、人的・金銭的な支援はないとのこと。ボランティアの善意と大きな負担の上になんとか成り立っている状況です。
被災者の心身の健康に大きな影響を与える「食」がボランティア頼りと言うことに驚きを覚えました。